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情報豊かな『オノマトペ』ー 日本語が楽しくなる法則 ー

今回のめーるきっず通信でご紹介するのは、『オノマトペ』と呼ばれる日本語では欠かすことができない、表現方法についてです。
さて、『オノマトペ』とは、どんなときに用いられる方法なのでしょうか。
みなさま、ご存知ですか??

例えば、鐘の音がゴーンと響くなどの『擬音語』や、クルクル回転するなどの『擬態語』の総称で、現在では日本語の100語につき、1語の割合(推定)で、存在するといわれる、独特の表現方法についてを指します。

明治大学の小野正弘教授によると、『日本語オノマトペ辞典』が収録するのは4500語ですが、今ではもう少し多くて、すでに5000語くらいではないかとも言われています。

『オノマトペ』(フランス語が語源)とは、日本では、すでに古くは、古事記の時代から存在していたと言われ、最も日本人の感覚に根づいた表現方法のひとつで、例えば、『ざっくり説明する』とか、『がっつり食べる』と言ったように、意味が広がっていくことばや、新しく作られる言葉などもあるようです。

ところで現在、これらの豊かな表現方法が最も多く用いられていると言うのが、商品開発の分野なのだそうですが、驚くことに、顕著に、その表現が表れている場所としてあげられるのが、「コンビニ」だと言うのを、みなさま、ご存知でしたでしょうか?

それはなぜかと言いますと、例えば、人気がある食感のことばを使った『もちっとチョコラ』や、『ごろっとアップル』『ミルクたっぷりとろりんシュー』などのネーミングから、商品の中味を想像することができるからです。

いずれにしても、豊かな情報性がいろいろな分野で注目されているのが、私たちの生活場面にはたくさんあると言うことですが、みなさんも、きっと、ひとつふたつ心に残るキャッチコピーがあるかもしれませんね。

『オノマトペ』をこのように商品名に使うスタイルが定着した1990年代半ばには、「じっくりコトコト煮込んだスープ」などのネーミングで、商品の特徴をアピールすることが、商品のイメージ定着と購買促進の両方に大きな影響力があったと言うわけです。

★食品のネーミングから
美味しさを感じるオノマトペ

ジューシー/もちもち/もっちり/トロトロ/フルーティー/サクサク/とろりん/ふわふわ/ふわっと/ごろっと/カリカリ/シャキッと

さらにまた小野教授によると、商品開発以外にも、『オノマトペ』が持つ豊かな情報性が注目される分野として代表的なのが、『医療』分野だと言われます。

例えば、痛みなどの症状をあらわす『オノマトペ』は、方言にも多い言葉で、秋田県の一部で使われている「めまい」についての表現で、「うるうるじい」とか、自分自身が沈み込んでしまう「まぐまぐしい」とかの二種類で使い分けることができるそうで、このような方言理解に向けて、国立国語研究所の竹田晃子特任助教授が編集した「東北方言オノマトペ用例集」には、方言からくる『オノマトペ』のいろいろな詳細が記されています。

余談ですが、3・11後に東北に入った医療関係者向けガイドブックにも、「むくむく」(岩手県、吐き気がするの意味)など、その意味を知らないと、救済を必要とされる方のニュアンスが分からないだろうと言う言葉を拾って、事前に網羅するなどの手だてもされ、それが緊急医療の場面で大きな役割を果たしたそうです。

★医療で使われるオノマトペ
例えば、どんな痛さ??

ビリビリ/ガーン/ジンジン/シクシク/キリキリ/ズキズキ/ヒリヒリ/チクチク/ズキンズキン/ガンガン

このように『オノマトペ』が、患者さんの痛みを端的に、適切に表現できる可能性を示唆していることから、これらを精査して、体系立てれば、医療者と患者の共通認識を作ることを助けるツールとして活用できるかも知れないと、日大総合科学研究所の小川節郎教授は分析します。
さらに、小川教授によれば、今後も新しい『オノマトペ』が登場する可能性が、日本語にはあると指摘しています。

携帯メール、ツイッター、ネット上の掲示板など、短文のコミュ二ケーション・ツールの発達で、「書き言葉」とは、異なる、キーボードを叩く「打ち言葉」が、誕生しているからです。
短文で、なおかつ効果的、そして便利な「打ち言葉」として、『オノマトペ』は、これからも重宝され進化していくのかも知れません。

たった一言で、相手に気持ちが通じるといわれる『オノマトペ』ですが、難しいながらも、よりスムースに相手に気持ちを伝えたい分、使い方や表現方法で、『オノマトペ』は、これらもその進化が問われているような、そんな気がする私です。

ドキドキ・・・!!

たちのゆみこ